“ジブリ映画好き”が伝授 聖地巡礼の旅ガイド【旅行のエキスパートシリーズ】

旅行を計画する際のお悩みに、旅行のエキスパートが集うトラベルズー編集部スタッフが応えます。「ホテルはどこに泊まればいいの?」「定番ではない穴場はどこ?」「おすすめのお店は?」…などなど、おさえておきたい耳より情報が満載です。今回は、ジブリ映画が大好きなスタッフに、映画の世界を追体験できる旅先を聞きました。
【この人に聞きました】Ai Yasuda
トラベルズーに入社する前、ひとりで屋久島を旅した経験を持つ編集部スタッフ。旅のスタイルは様々ですが、離島リゾートやメールマガジン「Top 20」で紹介した宿泊施設に出かけ、現地のレジャーやフォトスポットを隈なく巡るアクティブ派。国内で唯一定期運行している寝台列車“サンライズ”に揺られ、四国にも足を延ばしました。クルーズ旅行について詳しく、日本発着のクルーズ船情報のほとんどに目を通しています。
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Q、1984年3月公開「風の谷のナウシカ」の世界を体感できる場所はあるか。
A、モデルになっていると言われる地はいくつかありますが、個人的には以下の2つがイメージに近いかなと思います。
1、パキスタン・フンザ:
かつて宮崎監督が、風の谷のモデルは「中央アジアの乾燥地帯」と発したことから、映画の世界観にぴったりだと取り上げられるようになりました。周辺を約7,000m級の山々に囲まれ、渓谷に広がる集落や豊かな作物が実る田園風景は、主人公が暮らす村そのもの。フンザは日本と同じく季節がしっかり分かれており、四季折々の美観に魅せられる「シャングリラ(桃源郷)」とも呼ばれています。旅行会社ファイブスタークラブでは、このフンザを含むツアーも複数販売されていますよ。
2、トルコ・カッパドキア:
トラベルズーが毎週水曜に発行しているメールマガジンTop 20でもよく取り上げるカッパドキアは、様々な作品にインスピレーションを与えていそうな、奇岩の独特な風貌が特徴。公式発表はありませんが「風の谷のナウシカ」もその1つではと言われており、とくに観光拠点となることの多いギョレメからも近い「鳩の谷」は映画の世界観に浸れると多くのクチコミがみられました。筆者的には、かつては人々が生活していた「カイマクル地下都市」なども主人公の秘密の地下室のような空間が出てくるのでは…とワクワクが止まらないスポットです。
Q、1986年8月公開「天空の城ラピュタ」のモデルとされている場所を旅するならどこか。
A、国内の聖地巡礼なら、和歌山・友ヶ島の砲台跡や、新潟・佐渡島の北沢浮遊選鉱場、兵庫・朝来の竹田城跡などが天空に浮かぶ島の雰囲気を味わえると人気のスポット。海外なら、スタジオジブリが公式Webサイトで「大いに参考にした場所」として紹介しているイギリスのウェールズ地方は要チェックで、産業革命時代に栄えた炭鉱や採掘場は、映画内の街並みや冒険シーンに反映されています。印象的なシーンである映画中盤の救出劇が繰り広げられる要塞も、同地方の「ティディス要塞」がモデルです。
Q、1988年4月公開「となりのトトロ」のような場所でゆっくり過ごしたい。
A、ジブリパークの「どんどこ森」や、作品の参考地となっている埼玉・所沢の狭山丘陵などは作品の世界観に浸れそうですが、“ゆっくり過ごす”という点では少しミスマッチな気も。日本の原風景から少し視点を変えて”森のリゾート”という方向性で考えてみると、多くの棚田や深い緑に囲まれつつも様々なリゾートホテルなどが進出しているバリ島・ウブドは、心身ともにゆっくり過ごせるのではないでしょうか。
Q、1898年7月公開「魔女の宅急便」のモデルとなった街は。また、そのうち旅行しやすいのはどこか。ホテルのおすすめも知りたい。
A、スタジオジブリが「大いに参考にした場所」として発表しているのは、スウェーデンのストックホルムと、ゴトランド島のヴィスビー。そのうちストックホルムは、2025年1月よりANAが日本で唯一の直行便を羽田から就航させたことで、ぐっと行きやすくなりました。
ターミナル駅のストックホルム中央駅周辺のホテルが利便性としては良いですが、せっかくなら観光の目玉となる旧市街ガムラスタンエリアのホテル滞在がおすすめ。ストックホルム宮殿やリッダーホルム教会など、中世からタイムスリップしてきたような美しい建築物の宝庫で、エリア内のホテルなら大体歩いて向かえます。石畳の小路が入り組んでいるエリアでもあるので、散歩するだけでもきっと素敵な旅の思い出になりますよ。
Q、1994年7月公開の「平成狸合戦ぽんぽこ」と1995年7月公開の「耳をすませば」は多摩地域がモデルとされているが、東京駅から日帰りで旅行するなら、どういった観光名所があるか。
A、ジブリ映画に関わるところなら…
・常設展示「映画の生まれる場所」などを見られる、三鷹の森ジブリ美術館
・「千と千尋の神隠し」に出てくるボイラー室そっくりな「武居三省堂」などがある、江戸東京たてもの園
Q、1997年7月公開「もののけ姫」の舞台の1つにあげられているのが屋久島。実際に訪れた感想は。初めての訪問に向け、注意すべきポイントは。
A、筆者は往復約10時間かけて屋久島のシンボル・縄文杉を見に行ったのですが、森の奥に進めば進むほど人が踏み荒らしてはいけないような、本当に神々がいるような…。そんな圧倒的な神秘感を感じたのは初めての体験でした。なお「もののけ姫」が好きな人は、白谷雲水峡の太鼓岩で必ず「♪はりつめた弓の~」と歌いたくなる心理に陥りますので、ぜひ音源を用意して向かってください!
注意すべきポイントとしては、トレッキング時の雨対策です。1年のうち360日は雨、などと言われる屋久島。平地はそんなこともありませんが、縄文杉のある森や白谷雲水峡、ヤクスギランドなどトレッキングエリアは標高が高く、天気が変わりやすいです。雨が降るとより幻想的な森の雰囲気を楽しむことはできるのですが、傘を差しながら歩くのは難しいところも多く、服装・靴・リュックサックはちゃんとした装備のものを選ぶことが肝心です。とくにリュックサックは、着替えや上着なども全部濡れると寒さに困るので、雨除けカバーが付いているものが良いです。
Q、2001年7月公開「千と千尋の神隠し」のモデルとされる場所は国内外にある。海外と国内で、行くべき場所を教えてください。
A、海外で有名なのは台湾・九ふんですが、期待を裏切らないおすすめのスポットです。とくに、街全体にぶら下がる赤ちょうちんに明かりが灯る夕方以降はどこか妖しさを感じさせ、入り組んだ細い路地の先は別世界に繋がっていそうな雰囲気でした。
国内なら、愛媛・松山の道後温泉、群馬・吾妻の四万温泉、山形・花沢の銀山温泉などが、「油屋」や「油屋」のある街のモデルになっているのではという噂。北海道・十勝の然別湖には、物語後半でキャラクター達が歩いていたような水の中に沈む線路があり、例年9月下旬~10月上旬には水際の木々が紅葉して一層の美しさを見られるので、作品を知らない人でも楽しめるおすすめのスポットです。
Q、次に狙っている旅先はどこですか。また、その理由は?
A、“ジブリ映画好き”を名乗っていながら、まだジブリパークを訪れたことがなく…旅先候補の1つです。愛知は2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の関連地域の1つでもあるので、放送も楽しみですが、合わせて観光ニュースも盛り上がるのではと期待しています。
※情報は、発行前日の情報をもとにトラベルズー編集部が独自にリサーチしたものであり、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
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