どうなる?ワクチンパスポート 対象国・帰国時情報…証明書アプリ公開(12/20更新)

2021/07/01

EU加盟国の間で7/1、世界初となる「デジタル新型コロナ証明書(EU Digital COVID Certificate)」の運用が開始されました。日本でも「ワクチンパスポート」導入の動きが進んでおり、国内では7月中下旬からの運用が見込まれています。詳細は今後明らかとなる見込みですが、厚生労働省発表の資料を中心に、現状で判明している情報をまとめました。内容が判明次第、逐次更新予定です(本記事で記載する接種証明書は、海外渡航の際に必要な者に発行される証明書について述べています。接種の記録を必要とする場合の「接種済証」や「接種記録書」とは異なります)。

<目次>
■接種証明書発行に伴う手続き、必要書類・申請対象者
■申請受付スケジュール、手数料等詳細
■新型コロナウイルスワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧
■新型コロナワクチン接種証明書アプリが登場

【更新情報 12/20 10:47現在】日本政府が公式に提供する、新型コロナワクチン接種証明書を取得できるアプリが公開されました。情報を更新しています。
【更新情報 12/13 17:55現在】外務省11/19発表時点の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧を更新しました。
【更新情報 9/7 14:35現在】外務省9/3発表時点の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧を更新しました。
【更新情報 7/21 16:39現在】海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧を更新しました。また、本文末に厚生労働省Webサイト内「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について」へのリンクを掲載しました。
【更新情報 7/12 9:12現在】海外渡航者向けのワクチンパスポート申請は、7/26に受付開始見込みである点を追記しました。申請に伴う手数料についても追記しています。


■紙は7月下旬交付を目標に…デジタルは未定(7/21一部更新あり)

いわゆる「ワクチンパスポート」、正式名称は「新型コロナウイルスワクチン接種証明書」。予防接種法に基づいて市区町村で実施された新型コロナウイルスワクチンの接種記録等を、接種者からの申請に基づき交付するものです。出入国の際にワクチンパスポートを提示することで、空港での検疫手続きの迅速化、隔離の免除、または隔離期間が緩和されるなどの活用が期待され、業務による海外渡航のほか、将来的には観光を目的とする観光渡航が円滑に進む可能性があります。

接種証明書発行手続きのステップ(参照 内閣官房副長官補室「ワクチン接種証明書 発行手続 第1回自治体向け説明会」2021/6/25)

接種証明書には、ワクチンの種類、接種年月日などの「新型コロナウイルスワクチンの接種記録」と、氏名、生年月日、旅券番号など「接種者に関する事項」が証明内容として記載される予定(6/25現在)ですが、内容の詳細については諸外国の動向等を踏まえて決定される見込みです。

発行はまず、紙での申請と紙での交付を予定し、開始は7月中下旬の見込み(6/25現在)。自治体が接種者全員に交付するのではなく、申請者が必要書類を用意し、接種を実施した市区町村の窓口を訪問、または郵送で申請する仕組みが検討されています。必須書類は下記の通り。

申請に必要なもの(7/21更新)

  1. 接種証明書交付申請書
  2. 海外渡航時に有効なパスポート
  3. 接種券のうち「予診のみ」部分
  4. 接種済証または接種記録書(紛失の場合は「予診票の写し(本人控え)」でも可)
接種証明書交付申請書のイメージ(6/25発表資料時点)(参照 内閣官房副長官補室「ワクチン接種証明書 発行手続 第1回自治体向け説明会」2021/6/25)

利便性を高めるため、将来的にはデジタルでの申請や発行も検討されていますが、7/2時点では開始時期未定となっています。

なお、申請に伴う手数料は無料。申請者負担は当面の間無しとされていますが、郵送で申請する場合の費用は申請者の負担となります(7/12追記)。また、自治体によってはパスポートとは別個で本人確認書類の提出を求めている場合もあるので、事前の確認をおすすめします(7/21追記)

※注意:接種証明書の発行は、当分の間下記2点のいずれにも当てはまる者のみとされています(7/21更新)

  1. 予防接種法に基づく新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種(医療従事者等の先行・優先接種、職域接種、通常接種(市町村の発行した接種券を使用しての接種)等)を受けたこと。
  2. 我が国から海外へ渡航する際、接種証明書を所持していることにより、相手国による防疫措置の緩和が受けられるといった理由から、本証明書を必要とすること。

■EUで運用スタート、国内の動き

EUでは7/1、加盟国共通の「デジタル新型コロナ証明書(EU Digital COVID Certificate)」の運用を正式にスタート。ワクチンを接種した記録や陰性結果情報などを含むもので、入国時の自主隔離や検査の免除に活用されます。目的地に到着後、デジタル新型コロナ証明書を提出すれば、自由にEU域内を旅行可能です。

日本におけるワクチンパスポートの運用については順次内容が明らかになる見込みですが、日本経済団体連合会は入出国時の活用だけでなく、ワクチン接種記録の提示によって会場やイベントへの入場時の要件が緩和されたり、さまざまなサービスやキャンペーンが受けられたりするなど、国内における活用も求めています。

デジタル新型コロナ証明書 イメージ ※運用された実物とは異なります

ワクチンパスポートの運用については細心の注意が必要だ、とする意見も。ワクチンの接種は個人の自由であるにもかかわらず、ワクチンパスポートの導入が進めば、証明書の発行がワクチンの接種を促すものとして捉えられる場合があるからです。また、接種した人と接種していない人の間に不公平が生まれ、差別に繋がるのではないか、という意見も。望んでも接種できない人がいたり、接種スケジュールの中止や遅延が報じられているエリアもあったりと、クリアしなければならない課題は決して少なくありません。


■申請受付は7/26開始見込み、手数料は無料…即日交付も可(7/12更新)

読売新聞は7/10、海外渡航者向けの接種証明書は7/26から全国の市区町村で申請を受け付ける予定である旨を報じました(参考  読売新聞「【独自】ワクチン証明書、商業施設想定の運用指針作成へ…非接種者への差別回避」2021/07/10)。電子申請や電子証明書の発行については引き続き検討中で、詳細は明かされていません。続く7/12、加藤勝信官房長官は7/26開始であることを記者会見で明らかにしています。気になる申請手数料は、当面の間は無料。郵送での申請は申請者が負担します。申請から発行までの期間については、書類に不備がないことなどの条件が揃えば「即日交付できる場合もある」と述べています。

内容が固まり次第、市区町村もワクチンパスポートに関する情報を公開することが予想されます。例えば、横浜市はWebサイト内の「新型コロナウイルスワクチン」に「新型コロナウイルスワクチン予防接種済証について」を掲載。接種証明書については「詳細が分かり次第、本市においても、対応を決定するとともに情報提供してまいります」とし、情報掲載の準備を行っています。


■海外渡航用の新型コロナウイルスワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧(12/13更新)

外務省は11/19、ワクチンパスポートが利用可能な国・地域一覧を更新しました。新型コロナワクチン接種証明書が使用できる国・一覧は下記の通りです(随時更新予定)。適用開始時期や適用範囲については注意が必要なエリアもあるため、詳細は必ず事前に確認が必要です。

新型コロナウイルスワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧(11/19時点)

【アジア】
インドネシア
韓国
シンガポール
スリランカ
タイ
バングラデシュ
東ティモール
フィリピン
ブータン
ブルネイ
ベトナム
香港
マレーシア
モルディブ
モンゴル

【大洋州】
オーストラリア
サモア
ソロモン諸島
ニュージーランド
パプアニューギニア
パラオ
マーシャル諸島

【北米】
カナダ
米国

【中南米】
アルゼンチン
英領バミューダ
エクアドル
エルサルバドル
グアテマラ
ジャマイカ
コスタリカ
セントクリストファー・ネービス
セントビンセント
ドミニカ国
ニカラグア
パラグアイ
ベリーズ
ホンジュラス

【欧州】
アイスランド
アイルランド
アンドラ
イタリア
英国
エストニア
オーストリア
オランダ
ギリシャ
コソボ
ジョージア
スイス
スペイン
スロバキア
スロベニア
デンマーク
ドイツ
トルクメニスタン
バチカン
フィンランド
フランス
ブルガリア
ベラルーシ
ベルギー
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ポーランド
マルタ
リトアニア

【中東・北アフリカ】
アラブ首長国連邦
イスラエル
オマーン
チュニジア
トルコ
バーレーン

【サブサハラ・アフリカ】
アンゴラ
エチオピア
ガボン
セーシェル

免除・緩和される具体的な措置は、外務省Webサイト「外務省 海外安全ホームページ」内の海外安全情報で閲覧可能です。

なお、ワクチンパスポートはあくまでも海外への入国の際に使用できるもので、日本への帰国・入国に際しては、新型コロナワクチン接種証明書の有無にかかわらず、水際対策に係る各種措置の対象となります。各種措置は例えば、出国72時間前検査証明書の提示、14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入等について誓約など(検疫所が確保する宿泊施設での待機期間は国・地域によって異なるため、詳細は必ず事前に確認してください 12/10時点)

【関連リンク】
外務省「外務省 海外安全ホームページ」海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧(11月19日現在)
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/certificationlist.html


■新型コロナワクチン接種証明書アプリ登場(12/20更新)

デジタル庁より、日本政府が公式に提供する新型コロナワクチン接種証明書アプリが公開されました(アプリ名「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」)。App StoreまたはGoogle Playで「接種証明書アプリ」と検索し、インストール可能です。接種証明書の発行は無料。マイナンバー通知カードでは登録できません。

日本国内用と海外用の新型コロナワクチン接種証明書(デジタル証明書)を発行し、提示できるアプリです。接種証明書の発行にはマイナンバーカードとマイナンバーカードの券面事項入力補助用の暗証番号が必要で、海外用の接種証明書の発行には、さらにパスポートが必要です。マイナンバーカードに旧姓併記がある場合、パスポートに旧姓・別姓・別名併記がある場合、また、パスポートとマイナンバーカードの氏名表記が異なる場合は、発行はできません。

アプリでの接種証明書の発行に対応している市区町村の一覧は、デジタル庁Webサイト内、もしくはアプリ内メニュー「お知らせ」から確認できます。

【関連リンク】
App Store 新型コロナワクチン接種証明書アプリ
Google Play 新型コロナワクチン接種証明書アプリ

デジタル庁「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」 画像はApp Store内のもの

なお、厚生労働省Webサイト内で6/25に公開された資料(内閣官房副長官補室「ワクチン接種証明書 発行手続 第1回自治体向け説明会」)のなかでは、ワクチン接種証明書については「あくまで接種を受けた本人の接種の事実を証明するもの」であり、それ自体に有効期限を設けるものではないと回答。また、「記載事項をどのように評価し活用するかは、一義的には証明書の提示を受ける側(相手国等)が判断すること」としており、ワクチンパスポートの有効性に関する議論が行われています。

最新情報は外務省、厚生労働省等、公式サイト内で確認してください。

【関連情報】
内閣官房長官記者会見 令和3年7月12日(月)午前
(新型コロナウイルス感染症のワクチン接種証明書の質疑応答については動画7:00頃に発表あり)
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202107/12_a.html

【関連リンク】
厚生労働省「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_certificate.html


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Aki Sato:
落語・講談を愛する旅行業界出身の元ニュース編集者。健康のためにダイエットを再開しました。


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